自宅の外に作った池で飼ってる金魚の飼育体験談その2です。
その1では各金魚たちそれぞれのご紹介を中心に、その後に起きたトラブルについて書かせていただきました。
興味がある方はまず先にそちらをご覧ください。
ここでは金魚の飼育に関する私の体験談を書かせていただきます。 私の実家では犬や猫などの動物を飼う習慣はありませんでした。 父親と兄はあまり関心がなく「動物を可愛いがる」という感情をあまり持たず、母は自宅の店舗[…]
一匹の金魚に異変が発生
長年、元気でいてくれた5匹の金魚と鯉。
ただ、2019年の台風の影響で一番大きな鯉を失ってからは池の中が少し寂しくなりました。
今の自分にできることは残された4匹に対してより一層大事に世話をすることだけです。
しばらくは何事もなく平和な日々が続きました。
台風が近づく度に以前の悲劇が鮮明に思い出され、ウォータークリーナーの状態なども早めに確認して掃除などして対策しました。
しかしやはりトラブルは突然襲ってくるものです。
2022年6月某日、いつものように金魚の池をのぞくとショッキングな光景が目に入りました。
な、なんだこれ??
見慣れない柄の金魚がいて縦に立っているように見えました。
カエルに食べられてる最中?
なんか2匹の金魚が絡み合って合体している?
(そんなわけないはずですが、この時は混乱してそう見えたりもしました。)
落ち着いて池の中を見回すとリハク、シュレン、ヒューイは普通に泳いでいる。
消去法でこの異常な状態の金魚はジュウザであると理解出来ました。
ただ、普段は池の真上から泳いでるのを眺めてたのでジュウザは「全身真っ黒な金魚」という認識しかなかったので、見慣れないオレンジ色の柄を確認したときは全く別の金魚が迷い込んだとさえ思いました。
そして頭部が下に向いてるようで顔は確認できず、ウォータークリーナーの水の流れに力なく吸い寄せらてるようにも見えました。
さらに他の金魚は無慈悲にもジュウザに体当たりをして泳いでいます。
その度にはじかれて流されていく様がよりショックを際立させました。
(死んでるのか…?)
体が垂直になってるのはどういうことかこの時は本当に状況がつかめませんでした。
ただ、よく目を凝らすと、垂直になって水面からわずかに出てる尾は「ヒク、ヒク」とわずかに動いてるように見えました。
・・・生きてる!
とりあえず最悪は免れましたがこの状態が誰が見ても正常とは思えず、緊急な対処が必要と感じました。
病院探しの苦労と判明した病名
おそらく病院に持ち運ぶ可能性も出てくると思い、まずはバケツに移動させました。
詳しく状態も確認するために。
上から見ると真っ黒だった金魚は思いの他大きく、逆の面は白やオレンジが混ざった柄だったのが何年も飼っててこのときはじめて知ることとなりました。
体はやはりグッタリとしてます。
よく見ると右目の上にはいつの間にかできてた直径2センチほどの巨大なイボも発見し、痛々しそうですし妙な病気に罹ってないかも心配でした。
口は力なくパクパク動くことがありますが、金魚がお腹を上に向けたり頭を下に垂直に立つなど異常な状態なのは間違いありません。
とにかく素人がネット情報で金魚の状態を勝手に判断するよりも、まずは専門的に魚類を診てくれる病院を探すことにし、車で持っていくことも考慮して30分以内でいけそうな地域に絞って「金魚 病院」などで検索をかけると動物病院ばかりが表示されました。
そこで片っ端から電話をかけていきましたが、
「金魚は診れません。」
と魚類も対象に入ってるにも関わらず、こういう答えをする病院が実に多いことに驚きました。
じゃぁ、魚類の何ならできんだよ!!
SEO対策どうなってんだ!?
直接言ったわけじゃありませんが、気が焦ってるからそう思わずにはいられませんでした。
都内とはいえ、とにかく予想以上に金魚を診てれる病院を見つけるのは困難だったのです。
そしてようやく20件目あたりで対応してくれる病院を発見。
ただ先生は診療中で、対応した方が先生に確認したことによると
「持ってきても移動中の揺れなどでかえって金魚にストレスがかかって危険です。」
と伝えてきました。
確かにそういう可能性も考えられるので今急いでも仕方ないとわかり、指示通り金魚の飼ってる環境、状態を細かく書いて現在の動画も添付してメールを送りました。
とりあえず病院に持ち運ぶことはなさそうか…。
ここで初めて一息つくことになります。
そして2時間後くらいにメールを確認した医師から直接電話がかかってきました。
まず、金魚は「転覆病」の可能性が高いとのことです。
転覆病とは
金魚がお腹を上に向けたり逆さまになってしまう病気。
体の中の浮力のバランスを取る浮袋がうまく機能しなくなり、体の向きだけでなく沈んでしまったり浮いたりしてしまうこともある。
餌の食べ過ぎでうまく体が消化し切れなかったり環境などのストレスも原因となる。
この転覆病については普通は一カ月くらいで治るようでが、色々な要素も含んで必ずしも安心とはいいがたい状況です。
ジュウザについては右目の上にできてるイボは腫瘍らしく、薬はないので手術で取り除くこともできなくないけど現在は転覆を患っていること、10年以上飼っているので人間でいえば高齢者くらいの年齢らしいので手術は体力的にきつく放置するしかないと言われました。
それ以前に、先ほど言われたとおり車に乗せて持っていくこと自体も危険らしいです。
最終的に医師からは以下のような対処法をすすめられました。
・餌は体の状態が戻るまでは与えない
・水は三日くらいに一度は変える
・水温を23~26度に保つ
・塩を適量入れる
餌に関していうと他の金魚ほど目立って食べてるとは思えなかったですが、まずは一週間ほど絶食して様子を見るように言われました。
消化し切れず苦しんでるなら与えるわけにもいきません。
ストレスに関しては…、
10年以上同じ池で飼ってて安定して暮らしてたようにも思えますが、もちろん金魚によっては性格の違いはあるでしょうし、ジュウザは黒い体のせいか他の金魚が狭い池の中で気づかずにぶつかってきたりするのを何度か見たことがあります。
時にはリハクのように大きな鯉に体当たりされてはじかれたりすることも。
これが金魚界ではいじめなのかどうかは定かではないですが、ジュウザにとってストレスは他の金魚より溜まりやすかった可能性は十分あります。
医師の先生からのアドバイスは水槽を買うだけでほとんど実現することができ、あとは経過を見るしかなさそうです。
とりあえず聞いた限りだと今すぐどうなる、という問題ではなさそうでイボだけは気になりますがまずは金魚の為に環境を整えることを優先した方がいいとのことでした。
水槽の中でただ一匹
幸いにも医師からの電話が早かったので午後に車を出してすぐに水槽を購入することができました。
バケツからゆっくりと中に移したのですが…。
いきなりストンと地面に頭を向けての垂直立ち…。
バケツの時はせいぜい斜めだったのですが再び不安がよぎりました。
想像してみてください。
自分が逆立ちして四六時中過ごすことを。
もちろんジュウザもそうしたくてしてるわけではなく体のバランスが保てないので非常につらいのです。
後は水温系を設置、水流は強くしすぎず塩を適量入れておきました。
自分にできるのはここまでのようです。
頑張ってくれ…。
賑やかだった池から狭い水槽に一匹だけ移されたジュウザ。
これが本人にとって心が落ち着く環境であればいいのですが…。
一夜明け、どこまで回復したか確認しにくいくと母親が
「金魚ちゃん、死んじゃったよ…。」
と言ってきました。
ええ!?
母のこの言葉は2年前の出来事を思い出しました。
台風で濁った水で死んだ鯉のフドウが亡くなった朝にも目覚ましのアラームがかかる前にもそうい言って私を起こしてきたので当時と同じ寒気がゾワッと蘇ってきました。
やっぱり駄目だったのか…。
年齢的にも色々と厳しかったのか…。
水槽を見ると昨日と同じ垂直のまま。
ただ、口はパクっと動いたし尾ひれもよくみりゃ動いてる。
「生きてるじゃないかよ!!」
私の母親は決して悪質な嘘をつくような人ではなく、どうやらよく見えずに勘違いしてたらしいです。
確かにパッと見はまるで動いてないように見えましたし。
ここまでして簡単に死なれてたまるか!
という気持ちはありました。
まったく予想できなかった悲劇
ジュウザを部屋の中の水槽に移し慌ただしかった一日が経過し、生存も確認できました。
その直後、いつものように池の金魚達の様子を見に行くとやはり違和感があります。
(決して広くはない池には数年前は5匹が元気に泳いでいたのに今じゃ2匹だけか。
随分寂しくなったな…。)
(…え?2匹???)
フドウが死に、ジュウザを水槽に移したから池には残り3匹いるはずだが…。
真っ赤な体のシュレンがいない!!
池全体を何度確認してもいない!
昨日に続いて妙な悪寒が再び襲ってきました。
金魚が突然消えることなんてあるのか??
猫に食べられたのか?
それなら大きい鯉も狙ったり血の跡やら残骸などがあってもおかしくない。
カエルが迷い込んで一匹だけ呑み込んで逃げたのか?
可能性はなくはないが数年前はともかく最近じゃ周りもどんどん改築するなど環境が変わってからはまったく見かけなくなったし。
一体どこへ行ったんだよ…!?
よくよく目を凝らして池の中を見ると中央の底に黒い袋のようなものが沈んでるのが見えました。
それが私が失くしてた片方のハーフソックスだとわかり、取り出す際、中になにかが入ってるのか膨らみと重さがありました。
この時点で私は最悪のことを確信し、おそるおそる靴下に手をかけると…。
中からはシュレンの亡骸が出てきたのです。
(えぇ…!?)
テレビのサスペンスドラマで見るような普通では信じられない奇妙でトリッキーな光景が目の前に広がりました。
おそらく、ですが洗濯で干してた私の靴下が風で飛んだりしていつの間にか池に沈んでたのです。
タイミング的にジュウザの具合が悪くなった後の夜中の間にシュレンはこの靴下に潜り込んでしまって動けないまま亡くなってしまったと思われます。
こんなことがあるのか!!!
いや、現実目の前で起こってるのですが信じられない気持ちでした。
一匹の金魚が危険な状態のまま、次の日に別の金魚が靴下の中で死んでたなんてまったく考えもしなくて尋常じゃないショックでした。
あの靴下がいつから沈んでたのかわかりません。
フドウが亡くなった時は大型台風やウォータークリーナーの故障や休日など運の悪いことが重なったので仕方のない部分はあったかもしれませんが、今回シュレンが亡くなったのは間違いなく私の管理、注意不足が原因です。
今でもこの時のショックを思い出すとなんともいえない沈鬱な気持ちに襲われます。
こういった形で死なせてしまったのは悔やんでも悔やみきれません。
シュレンはその日のうちにフドウと同じ花壇に埋葬させていただきました。
必死に生きようとする姿に感動
シュレンを自分の不注意で死なせてしまったショックを忘れるわけにはいきませんが、その後も転覆病のジュウザと向かい合う日々。
相変わらず体は頭を下に向けて垂直のままピクリとも動かず、わずかに口をパクパクしてる状態が続いてます。
本当にこのまま放置してて大丈夫なのか??
かといって自分にできることは水を取り替えて水温を調整するくらい。
この生存確認をしてる間は医師に言われた通り、高齢なのでちょっとした病気でもいつ何があってもおかしくないという覚悟はありましたが…。
不安の日がしばらく続きます。
そして最初に転覆してから10日以上たったある日の朝、水槽を覗くと
垂直だった体がわずかに斜めになって泳いでました!!
やはり少しづつ回復してる!?
でもその後もまた垂直に戻ったりする日もあり、その時点ではまだまだ判断がつきにくかったでです。
それから数週間経過する頃は垂直になることはなくなり、少しずつ水平に泳げるまで回復しました。
ただまだ体のバランスが上手く保てないのか、力を抜くと頭の方から沈んでしまうので顔の下に位置する「胸びれ」で犬かきのように必死に水を漕いで体を起こすように泳いでました。
私は、
金魚が必死に生へ執着するかのような懸命な姿を見て涙が出そうになりました。
頑張れ!頑張れ!
お前まで死なせてたまるか!
心の中でそう叫ばずにはいられなかったのです。
10年以上もありがとう
ジュウザが転覆病を発症してから一ヵ月くらいたった頃には稀に頭が下に向いてしまうこともありましたが、初期のように垂直になることは全くなくなったので転覆病に関してはほぼほぼ回復に向かってると思い、普通に泳いで普通に餌を食べる日も珍しくなくなりました。
ただ、そういう安心感を吹き飛ばすかのように今度は底に沈んだまま動かない時間が長かったったりと新たな問題が発生したのです。
この頃から東京は猛暑になり過去最大の真夏日の連続記録を更新し、異常に暑い日が続いていたのも少なからず影響してたかもしれません。
池の方の金魚たちには自然の雨に任せたり、水をバケツで一気に入れたりするので水温を下げることができますが、水槽のジュウザに対してはとにかくストレスに感じそうなことには敏感に対処し、時には医師に言われたとおり氷を入れるなどして水温の調整なども何日もしてました。
その後、8月某日。
突然、水槽の底に真横でグッタリとしてる姿を見ました。
再び以前の医師に動画を添付してメールし、塩や薬を撒きましたが時は既に遅かったらしく、ジュウザは次の日に同じ体制のまま動かず亡くなっていました。
医師は今回の状態に対してメールで「厳しい状態」と告げており、右目の腫瘍(メラノーマ)と思われるコブが関与していることも指摘されてました。
私なりに精一杯世話をしてきたつもりですが、ここ数カ月の度重なる病気や不安定な状態、10年以上飼ってて高齢だったことからある程度の覚悟はできてました。
それでも転覆病から2カ月は必死に頑張ってくれたと思います。
池の時には真上から見るだけだったので気がつかなかったのですが、実際は思いのほか大きく立派なひれを持ち、黒を基調とした白とオレンジの鮮やかな柄をしてる金魚だとわかりました。
皮肉なことに病気で水槽に移さなければそれもわからなかったかもしれません。
ジュウザはデリケートで世話が大変だった分、今までで一番記憶に残る金魚でした。
結果として私はこの2カ月で大事な金魚を2匹も失ってしまったのです…。
10年以上もありがとう。
どうか安らかに眠ってください。
金魚の飼育体験談 その1~外の池で飼うリスク~
自宅で父が作った池の中で飼い始めた金魚。
元気に泳ぐ姿を見ることに心が癒されますが、世話をするのもわりと大変なところもあります。(22/07/08)
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